2007年1月21日(日)11:03

EU憲法をめぐりさまざまの論議

ベルリン(ddp)

発効を目指すEU憲法をめぐり欧州連合では依然議論が分かれている。イギリスのマーガレット・ベケット外相は週末、憲法を新規EU拡大の前提条件と考えることに反対を表明した。一方、政界、宗教界、労働団体の代表はEU憲法に対するさまざまな期待を述べた。

ベケット外相は、今後のEU拡大は憲法が制定されない限り不可能であるとした、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟)の意見に反論した。イギリスは「この見解にまったく」与しない。「私たちは、機構改革と拡大を自動的に結び付けねばならないなどという考えを、決して受け入れていない」とベケット外相は付け加えた。

メルケル首相は水曜日、欧州議会で行なったEU議長の就任演説で、EU憲法の最終的廃案に警鐘を鳴らした。現行の規定ではEUは拡大もできなければ、必要な決定も行なえないと首相は主張した。

ドイツ建設・農業・環境産業組合IG Bauen-Agrar-Umweltのクラウス・ヴィーゼンヒューゲル議長は、ドイツのEU議長職を踏まえ、メルケル首相が提案した計画を批判した。そこには社会的要素が「僅かしか」盛り込まれていない。メルケル首相はEU憲法についての演説で明確なメッセージを送ることを怠った。自由市場のEUばかりでなく、社会的EUも必要なのだ。憲法を望むなら、人々のためになる事柄も盛り込む必要がある。この機会をメルケル首相は「完全に逃した」、とヴィーゼンヒューゲル議長は批判した。同議長は建設労働者国際同盟の議長も務めている。

一方、ドイツのローマン・ヘルツォーク元大統領は「EUと加盟国の間で明確な権限規定を行なう」よう勧告した。「さもなければ私は憲法に賛同することはできない」と大統領は述べた。

メルケル首相もEU憲法の前文で神への言及がないことに不満の意を表した。首相は、私は「もっと明確にキリスト教のルーツを認めてほしいと願って」いたと述べ、「神と人間に対する責任」を「明確に述べ」たドイツの基本法を引き合いに出した。これがなければ、「キリスト教の特質が日常の政治で保持できるか」疑問である、とメルケル首相は語った。

「EUはこの問題を今後も検討する必要がある」とメルケル首相は述べた。カトリックドイツ司教会議のカール・レーマン枢機卿は、「宗教がそれに付随する文化とともにEUの重要な基盤」に含まれることが憲法前文で明確にされれば、「手始めとしては大きな勝利」になると述べた。

メルケル首相は一方でユダヤ教、キリスト教、およびイスラームがヨーロッパの文化史に貢献したことを指摘し、EUは「キリスト教クラブではなく」、むしろ「価値観クラブ」ein Werteclub であると強調した。しかしEUはこの価値のために「闘う姿勢」が必要だと述べ、「私たちは、人間の尊厳は不可侵ではないとしたり、男性と女性の職業能力開発は異なっていなければならないなどとする意見を決して受け入れない」と付け加えた。

原題:Debatte um Verfassungsvertrag




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